
| その国の自然公園を代表する国立公園に注目!! 自然保護だけではなく文化財保護も含めた国立公園制度の可能性を探ってみよう |
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| 国立公園について |
1872年(明治5年)3月1日にアメリカ合衆国の第18代大統領のユリシーズ・S・グラント (Ulysses S. Grant)が「イエローストーン国立公園法」に署名した事によって世界で最初に国立公園が誕生し,2002年でちょうど130周年を迎えたことになります。 IUCNの自然保護地域の管理カテゴリーは, Ia厳正自然保護区, Ib原生保護地域, II 国立公園, III天然記念物, IV種と生息地保護管理地域, V 景観保護地域, VI 資源保護管理地域の6つに大別されています。 カテゴリーIIの国立公園は,主に生態系の保護とレクリェーションの為に管理される保護地域で, (1)現在,そして,将来世代に向けての生態系を保護すること (2)地域指定の目的に反する開発や占有を排除すること (3)精神的,科学的,教育的,レクリェーションやビジターの為の施設を提供すること 上記のすべてが 環境的にも文化的にも共存できることと定義されています。 今回,「世界遺産ガイドー国立公園編ー」では,ユネスコ世界遺産に登録されている物件のうち,物件名に「国立公園」と明記されているものを取り上げました。 国立公園といっても一概に自然遺産として登録されているわけではなく,イタリアの「ペストゥムとヴェリアの考古学遺跡とパドゥーラの僧院があるチレント・ディアーナ渓谷国立公園」,ハンガリーの「ホルトバージ国立公園」,メキシコの「パレンケ古代都市と国立公園」,セントキッツ・ネイヴィースの「ブリムストンヒル要塞国立公園」,チリの「ラパ・ヌイ国立公園」は,文化遺産としての登録,トルコの「ギョレメ国立公園とカッパドキアの岩窟群」,オーストラリアの「ウルル-カタ・ジュタ国立公園」,ニュージーランドの「トンガリロ国立公園」,グアテマラの「ティカル国立公園」は,複合遺産として登録されており多様です。 一方,その他の物件にも登録範囲に「国立公園」を含むものが数多くあります。例えば,前述したアメリカ合衆国の「イエローストーン」は,1872年に指定された世界最初の国立公園として,広く知られています。また,カナダの「カナディアンロッキー山脈公園」は,その登録範囲にバンフ国立公園,ヨーホー国立公園,ジャスパー国立公園,クートネイ国立公園の4つの国立公園を含んでいます。 現在,世界で国立公園を持つ国は143か国,国立公園の数としては1,689,合計面積は3億5,500haにも及びます。国立公園は,本来,国の保護管理下にあり保護管理体制の万全のはずですが,チュニジアの「イシュケウル国立公園」,エチオピアの「シミエン国立公園」,ウガンダの「ルウェンゾリ山地国立公園」,コンゴ民主共和国の「ヴィルンガ国立公園」,「ガランバ国立公園」,「カフジ・ビエガ国立公園」,「サロンガ国立公園」,中央アフリカの「マノボ・グンダ・サンフロ−リス国立公園」,アメリカ合衆国の「エバーグレーズ国立公園」,エクアドルの「サンガイ国立公園」が「危機にさらされている世界遺産」に登録されています。 現在,わが国では,「白神山地」(IUCNの自然保護地域の管理カテゴリーでは,Ib原生保護地域),と「屋久島」(II国立公園<霧島屋久国立公園>,Ia厳正自然保護区<屋久島森林生態系保護地域と屋久島原生地域>)の2つが自然遺産に登録されています。 今後,わが国においても自然遺産が増えていくことが待望されていますが,国土面積が狭いなかで,ユネスコの自然遺産の登録要件を満たすものを考えてみた場合,基本的には,自然環境保全法に基づき指定及び管理されている「原生自然環境保全地域」と「自然環境保全地域」,自然公園法に基づく「国立公園」,「国定公園」,「都道府県立自然公園」,国有林野経営規程に基づく「森林生態系保護地域」,それに,文化財保護法に基づく「天然記念物」が中心になると思われます。 わが国の国立公園は,1931年(昭和6年)に「国立公園法」が制定され,1934年(昭和9年3月)に瀬戸内海,雲仙,霧島の三つの国立公園が誕生しました。 現在,わが国には,利尻礼文サロベツ,知床,阿寒,釧路湿原,大雪山,支笏洞爺,十和田八幡平,陸中海岸,磐梯朝日,日光,上信越高原,秩父多摩甲斐,小笠原,富士箱根伊豆,中部山岳,白山,南アルプス,伊勢志摩,吉野熊野,山陰海岸,瀬戸内海,大山隠岐,足摺宇和海,西海,雲仙天草,阿蘇くじゅう,霧島屋久,西表の28の国立公園があり,合計面積は,204万6,508ha(国土の約5%)です。 自然公園の保護と利用を適正に行うために,それぞれの公園ごとに公園計画が定められていますが,一定の公用制限のもとで風致景観の維持を図るため風致景観の特質,公園利用上の環境保全の必要性等に応じて「特別保護地区」,「第1種,第2種,第3種特別地域」,「普通地域」に区分する保護規制計画があります。 世界遺産の登録範囲を設定する場合,核心地帯(Core Zone)と緩衝地帯(Buffer Zone)とによって構成されており,世界遺産条約では,遺産範囲の環境の適切な保護・保全を計っていく為,核心地帯の周囲の土地利用に制限を加えたバッファーゾーンを専門的調査に基づき設定することをガイドラインで求めています。 わが国の国立公園を世界遺産として登録する場合,基本的には,特にすぐれた自然景観や原始状態を保持している特別保護地区を核心に,現在の景観を極力保護することが必要な第1種特別地域, 農林漁業活動についてつとめて調整を図ることが必要な第2種特別地域,通常の農林漁業については許容する 第3種特別地域の特別地域と特別地域含まれない地域で風景の保護を図る普通地域との調整を計っていかなければなりません。 世界遺産への登録範囲がすべて国有地であれば話は早いのですが,民有地が混在するわが国においては,メリットとデメリットが争点となり,なかなか理想通りに進まないとのが現実の様です。 「世界遺産ガイドー国立公園編ー」の編集を通じて,わが国の自然公園が主体の国立公園の概念に,史跡などの文化財を包含した文化的な視点を加えることも必要なのではないかと感じた次第です。(古田陽久) IUCN(International Union for Conservation of Nature and Natural Resources) IUCNとは,国際自然保護連合の略称で,自然,特に,生物学的多様性の保全や絶滅の危機に瀕した生物や生態系の調査, 環境保全の勧告など自然環境の保全を目的とする国際的なNGO(非政府組織)で,絶滅のおそれのある動植物の分布や生息状況を初めて紹介した「レッド・データ・ブック」で有名。自然保護や野生生物保護の専門家のワールド・ワイドなネットワークを通じて,自然遺産に推薦された物件の技術的評価や既に登録されている世界遺産の保全状況を調査し世界遺産委員会に報告している。1948年にユネスコやフランス政府,スイス自然保護連盟などの呼びかけで,各国政府,民間の自然保護団体が参加して発足した。本部はスイスのグランにある。 |
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