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第24回世界遺産委員会ケアンズ会議について
71物件(43か国)の登録の可否等を審議



 11月27日から12月2日まで,オーストラリアのケアンズ(人口約12万人)で,ユネスコ(国連教育科学文化機関)の第24回世界遺産委員会が開催される。

 現在,ユネスコ世界遺産は,630物件(自然遺産 128物件,文化遺産 480物件,複合遺産 22物件)。
 今回の委員会では,世界遺産条約締約国から推薦され,その後,ICOMOS(国際記念物遺跡会議)やIUCN(国際自然保護連合)などの関係機関,また,世界遺産委員会(21か国)の代表7か国で構成されるビューロー会議でスクリーニングされてきた71物件(43か国)が審議され,登録の可否が決まる。

 今回の委員会での日本関係分は,これまで,暫定リストにノミネートされていた「琉球王国のグスク及び関連遺産群」(Gusuku Sites and Related Properties of the Kingdom of Ryukyu)。6月にパリのユネスコ本部で開催されたビューロー会議では,「琉球王国のグスク及び関連遺産群」(Gusuku Sites and Related Properties of the Kingdom of Ryukyu)については,さしたる異論はないので,登録されるのはほぼ間違いないものと思われる。

 昨年,モロッコのマラケシュで開催された第23回世界遺産委員会マラケシュ会議では,新たに48物件が世界遺産リストに登録されたが,今回の委員会では,その数を更に上回り,過去最多になるものと思われる。  

 登録物件は,ユネスコ世界遺産にふさわしく「顕著な普遍的価値」(Outstanding Universal Value)を有しているが,年々,ユニークなものも含め多様化している。

 今回は,これまでに,ユネスコ世界遺産に登録されている物件が自国内になかったマレーシア,アゼルバイジャンなどの初出国の物件の登場が期待される。また,「慶州の歴史地域」(韓国),「明・清王朝の皇帝陵墓群」(中国),「ヴェローナ市街」(イタリア),「ブルージュ(ブルッヘ)の歴史地区」(ベルギー),「ティワナコ」(ボリビア)など数多くの物件の登録が期待されている。

 世界遺産条約の本趣は,人類にとってかけがえのない自然遺産や文化遺産を危機にさらされることなく保護・保全し,次世代に継承していく責務があることを忘れてはなるまい。

 登録物件数の地域的不均衡,自然遺産と文化遺産の登録物件数の不均衡,開発と保全のあり方などの課題も残されているが,ユネスコ世界遺産を通じて,国家や民族を超えて世界的な共通認識を高め,ひいては,人類の恒久的な世界平和に繋げていきたい。 

 尚,新登録物件を含めた最新のユネスコ世界遺産の一覧については,2001年1月に発刊する「世界遺産データ・ブック −2001年版ー」,それに,「世界遺産マップス−地図で見るユネスコの世界遺産ー2001改訂版」をご参照頂きたい。(新物件のプロフィールについては,現在刊行中の「世界遺産ガイド」シリーズの中で,適宜,紹介していきたいと考えている)

 また,新しく登録される日本の「「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の物件概要については,同じく2001年1月に発刊する「世界遺産ガイドー日本編ー 2001改訂版」をご参照頂きたい。本書では,先般,文化庁から発表された,新たに「暫定リスト」に加わる「平泉の文化遺産」,「紀伊山地の霊場と参詣道」,「石見銀山遺跡」の物件概要についても簡単に触れたいと考えている。(H・F)





















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