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【目 次 】
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| 歴史都市について |
歴史都市とは 世界の国や地域には,数多くの都市がある。そして,都市の起源,発展の中で,それぞれ固有の歴史を構築してきた。 歴史都市の過去を回顧し,現在を見つめ,そして,未来を展望する時,先人が築いた都市の歴史を誇れる郷土の財産として保存し,次世代へと継承していかなければならない。 しかしながら,歴史都市は,その長い歴史の故に多くの矛盾を抱え,幾多の困難な問題に直面している。都市や地域の開発,新たな建設計画,広告看板の設置などによって,歴史と伝統のある都市景観や町並み景観が損なわれるなど歴史都市としての景観が変容し,その対策が大きな課題になっている。 歴史都市と世界遺産 ユネスコの「世界遺産リスト」にも数多くの歴史都市が世界遺産に登録されている。近年,世界遺産は多様化しているが,文化的景観(Cultural landscapes),産業遺跡(Industrial sites),人類遺跡(Hominid sites),岩画(Rock-art sites)と共に歴史都市(Historic cities and towns)として,文化遺産の中の大きなカテゴリーの一つになっている。 本書では,ユネスコの「世界遺産リスト」に登録されている下記の歴史都市の中で,代表的なものを特集し,21世紀の人類社会の質的向上のために,歴史都市が果たすべき役割,歴史的景観の保存,歴史都市を取り巻く問題点や課題を探る手掛かりとしたい。 世界遺産がある歴史都市と本書で取り上げた世界遺産がある都市( ) セネガル(ダカール,サン・ルイ島),マリ(ジェンネ,トンブクトゥー),ケニア(ラム),タンザニア(ザンジバル),モザンビーク(モザンビーク島),エジプト(カイロ),リビア(ガダミース),チュニジア(カイルアン,モナスティール,スース,チュニス),アルジェリア(アルジェ,ガルダイア),モロッコ(エッサウィラ,フェス,マラケシュ,メクネス,テトゥアン),モーリタニア(シンゲッテイ),イエメン(サナア,シバーム,ザビド),シリア(アレッポ,ボスラ,ダマスカス),ウズベキスタン(ブハラ,ヒヴァ,サマルカンド,シャフリサーブス),スリランカ(ゴール,キャンディ),ネパール(カトマンズ,バクタプル,パタン),ヴェトナム(ホイアン,フエ),ラオス(ルアン・プラバン),フィリピン(ヴィガン),中国(承徳,麗江,平遥),日本(上平,京都,奈良,白川郷と五箇山),イスラエル(アクル),エルサルム(エルサルム),トルコ(イスタンブール,サフランボル),ギリシャ(ホラ,ロードス),マルタ(ヴァレッタ),イタリア(アッシジ,カルタジローネ,カプリアーテ・サン・ジェルヴァシオ,カターニア,フェラーラ,フィレンツェ,マテーラ,ミリテロ・ヴァル・ディ・カターニア,モデナ,モディカ,ナポリ,ノート,パラッツォーロ,ピエンツァ,ラグーサ,ローマ,サン・ジミニャーノ,シクリ,シエナ,ウルビーノ,ヴェネチア,ヴェローナ,ヴィチェンツァ),ヴァチカン(ヴァチカン・シティー),スペイン(アルカラ・デ・エナレス,アランフエス,アヴィラ,カセレス,コルドバ,クエンカ,グラナダ,イビザ,メリダ,オヴィエド,サラマンカ,サン・クリストバル・デ・ラ・ラグーナ,サンティアゴ・デ・コンポステーラ,セゴビア,トレド),ポルトガル(アングラ・ド・ヘロイズモ,エヴォラ,ギマランイス,ポルト,シントラ),フランス(アミアン,カルカソンヌ,リヨン,モン・サン・ミッシェル,ナンシー,パリ,プロヴァン,ストラスブール),イギリス(バース,エディンバラ,テルフォード),バーミューダ(セント・ジョージ),オランダ(ベームスター),ベルギー(ブルージュ,ブリュッセル,ナミュール),ルクセンブルグ(ルクセンブルグ),オーストリア(グラーツ,ハルシュタット,ザルツブルク,ウィーン),スイス(ベルン),ドイツ(バンベルク,ゴスラー,リューベック,ポツダム,クヴェートリンブルク,シュトラールズント,ヴィスマル,ワイマール),ポーランド(クラクフ,カルヴァリア ゼブジドフスカ,トルン,ワルシャワ ,ザモシチ),チェコ(プラハ,チェルキー・クルムロフ,クロメルジーシュ,ホラソヴィツェ,クトナ・ホラ,リトミシュル,テルチ),スロヴァキア(バンスカー・シュティアヴニッツア,バルデヨフ),ハンガリー(ブダペスト),ルーマニア(ビエルタン,シギショアラ),ブルガリア(ネセバル),クロアチア(ドブロブニク,スプリット,トロギール),ユーゴスラヴィア(コトル),マケドニア(オフリッド),ノルウェー(ベルゲン,ローロス),スウェーデン(カールスクルーナ,Lule・/a> ,ストックホルム,ヴィスビー),フィンランド(ラウマ),エストニア(ターリン),ラトヴィア(リガ),リトアニア(ヴィリニュス),アゼルバイジャン(バクー),ウクライナ(リヴィフ),ロシア(ノヴゴロド,モスクワ,ノヴゴロド,サンクト・ペテルブルグ,スズダリ),アメリカ合衆国(プエルトリコ(サン・ファン)),カナダ(ルーネンバーグ,ケベック),メキシコ(カンペチェ,グアナファト,メキシコシティー,モレリア,オアハカ,プエブラ,ケレタロ,トラコタルパン,サカテカス),グアテマラ(アンティグア・グアテマラ),パナマ(パナマ),オランダ領アンチル(ウィレムスタト),キューバ(ハバナ,トリニダード),ドミニカ共和国(サント・ドミンゴ),ヴェネズエラ(コロ),スリナム(パラマリボ),コロンビア(カルタヘナ,サンタ・クルーズ・デ・モンポス),エクアドル(クエンカ,キト),ペルー(アレキパ,クスコ,リマ),ボリビア(ポトシ,スクレ),ウルグアイ(コロニア・デル・サクラメント),ブラジル(ブラジリア,ディアマンティナ,ゴイヤス,オリンダ,オウロ・プレート,サルバドール・デ・バイア,サン・ルイス) 危機にさらされている世界遺産 顕著な普遍的価値を有する世界遺産になる為には,登録基準,恒久的な保護管理措置が担保されていることなどが求められる。世界遺産になっているものは,基本的には,模範的なものであるはずであるが,その後,「危機にさらされている世界遺産リスト」(★【危機遺産】))に登録されているものもある。 歴史都市の関連では,ユーゴスラビア連邦共和国のコトルの自然・文化−歴史地域(★【危機遺産】1979年10月26日 理由 地震),ヨルダン推薦物件のエルサレム旧市街と城壁(★【危機遺産】1982年12月17日 理由 民族紛争),マリのトンブクトゥー(★【危機遺産】1990年12月12日 理由 砂漠化による侵食と埋没),イエメンのザビドの歴史都市(★【危機遺産】2000年12月2日 理由 都市化,コンクリート建造物の増加,劣化)が挙げられる。 このほかにも, 2002年8月にヨーロッパを襲った大洪水で,オーストリアのザルツブルク,チェコのチェルキー・クルムロフやプラハ,ドイツのワイマールとデッサウ,ハンガリーのブダペストなどヨーロッパの歴史都市にある世界遺産が深刻な被害を受けた。或は,ルーマニアのシギショアラの世界遺産登録地域におけるテーマパーク建設計画なども問題になっている。 この様に,地球温暖化,砂漠化などの地球環境によるもの,火災,風水害,地震などの天災によるもの,戦争,紛争,乱開発,都市化などの人災によるものなど多様な理由や原因で,世界遺産は,いつも不測の危険にさらされている。 歴史都市をいかに守っていくか 歴史都市をいかに守っていくかを考える場合,戦争や紛争のない平和な社会を築いていかなければならないことが大前提になる。アフガニスタンやパレスチナにおいても戦争や民族紛争で,かえがえのない貴重な歴史的建築物が失われている。 また,日常的な問題で一番多いのは,歴史都市の都市景観の変容である。都市に人間が居住する限り,新しい建物を建てたり,道路をつくる必要性が出てくるのは理解できるが,絶対に開発の手を入れず保存していけなければならない所は,守っていく考え方が重要である。 ヨーロッパの歴史都市を見て歩いていて,いつも感心することがある。旧市街と新市街の区別,派手な広告看板などは一切ない昔ながらの歴史的景観の保存,旧来のままに保存するべきところと新たな街づくりを行うべきところを混在させない都市計画が徹底している。 一方,経年劣化していく歴史遺産の維持管理の大変さがある。なかでも,経済的にも豊かでない国の歴史都市の中には,世界遺産登録や文化財の保護どころではなく,世界史上,重要な都市遺産が放置されている現実も見過ごしてはならないであろう。 この様なものについては,世界遺産条約締約の有無,当該国からの登録申請の有無に拘わらず,人類共通の財産を守るという視点からの国際的な救済が求められる。 都市間ネットワークの構築 また,歴史都市間の連携が必要である。世界遺産(文化遺産)がある人間が居住している都市間の連携と交流を深め,世界遺産保護の為の知識や管理,財源などの情報交換を図ることを目的とする恒常的な国際ネットワーク組織で,ユネスコが後援するNGOの一つである世界遺産都市機構(The Organization of World Heritage Cities(OWHC) 本部 ケベック・シティ 1993年9月設立。2002年9月現在187都市が加盟)や世界の歴史都市が積み重ねてきた貴重な経験と成果を交流し,21世紀に向けた人類の繁栄と文化の向上の為に都市が果たすべき役割を探ることを目的とした世界歴史都市連盟(The League of Historical Cities 本部 京都市総務局国際化推進室 2002年9月現在61都市(49か国)が加盟 ほぼ2年に1度,世界歴史都市会議を開催)に加盟している都市とのノウハウの交換,それに,世界遺産都市,或は,世界歴史都市共通のモラル・コードの設定など国際的な協調も必要なのではないかと思う。 (古田陽久) |
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