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第23回世界遺産委員会マラケシュ会議

 11月29日から12月4日まで,モロッコのマラケシュ(首都ラバトに次ぐ人口60万人の都市)で,ユネスコ(国連教育科学文化機関)の第23回世界遺産委員会が開催される。
 現在,ユネスコ世界遺産は,582物件(自然遺産 117物件,文化遺産 445物件,複合遺産 20物件)。
 今回の委員会では,世界遺産条約締約国から推薦され,その後,ICOMOS(国際記念物遺跡会議)やIUCN(国際自然保護連合)などの関係機関,また,世界遺産委員会(21か国)の代表7か国で構成されるビューロー会議でスクリーニングされてきた物件が,新たに,世界遺産リストに登録されることになる。
 今回の委員会での日本関係分は,これまで,暫定リストにもノミネートされていた「日光の社寺」(Shrines and Temples of Nikko)。7月にパリのユネスコ本部で開催されたビューロー会議では,「日光の社寺」(Shrines and Temples of Nikko)については,さしたる反対意見もなく,当初の予定通り登録される見込みである。
 昨年,日本の京都で開催された第22回世界遺産委員会京都会議では,新たに,30物件が世界遺産リストに登録されたが,今回の委員会では,その数を相当数上回るものと思われる。  
 推薦物件は,ユネスコ世界遺産の特質である「顕著な普遍的価値」(Outstanding Universal Value)を有していることを前提に,毎年,ユニークなものも含め多様化している。
 今回も,これまでに,ユネスコ世界遺産に登録されている物件が自国内になかった南アフリカやナイジェリアなどの初出国の物件の登場が期待される。また,インドの高原を走る「ダージリン・ヒマラヤ鉄道」,フランスの古くから葡萄とワインの生産地として発展してきた「サン・テミリオン管轄区」,ドイツのベルリンにある「博物館島」などのユニークな物件の登録も期待されている。
 世界遺産条約の本趣は,人類にとってかけがえのない自然遺産や文化遺産を危機にさらされることなく保護・保全し,また,損なわれることなく,次世代に継承していくことにあることを忘れてはなるまい。
 登録物件数の地域的不均衡,自然遺産と文化遺産の登録物件数の不均衡,経済開発と世界遺産を取り巻く環境保全のあり方などの課題も残されているが,ユネスコ世界遺産を通じて,国家や民族を超えた世界的な共通認識を高め,人類の世界平和へと繋げていくことを願いたい。
 そういった意味でも,昨年7月には,朝鮮民主主義人民共和国,今年10月には,イスラエルが世界遺産条約締約国(158か国)に,新たに仲間入りしたことは,大変,意義深いことだと思う。(H・F)  








マラケシュのシンボル クトゥピアの塔
1985年にユネスコ世界遺産に登録された
マラケシュ旧市街のランドマーク
(写真)モロッコ政府観光局(C)










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