2013年の回顧と2014年の展望





 

  各 位



 2013年は、当シンクタンク、そして世界遺産総合研究所にとって、一定の目標でもあった「富士山」の世界遺産登録が実現し、記念するべき一年になりました。特記事項として、

 一つは、テレビとラジオへの出演、新聞社からの取材です。例年と異なった点は、速報性で勝るテレビへの出演の機会に恵まれたことです。以前、NHKの番組に生出演したことがありますが、大変緊張しました。バラエティ番組は、初めてでしたが、TBSの「ひるおび」という人気番組に「富士山」の世界遺産登録の前後2度も生出演させていただき、生涯の記念になりました。全国放送とあって、その反響は大きく、意外と多くの人が見ていてくれたことがわかりました。大変嬉しいことです。
 
<TVへの出演>
TBSテレビ「Nスタ ニュース『和食:日本人の伝統的な食文化』」(2013年10月23日)
●テレビ朝日「モーニングバード! 『調査員が現地で調査 世界遺産登録目指す富岡製糸場』」 (2013年9月26日)
●NBC長崎放送「報道センターニュース『産業革命遺産』世界遺産に推薦決定」 (2013年9月17日)
●TBSテレビ「ひるおび」 祝! 富士山世界遺産に歓喜の瞬間を 完全取材 異例の”50分間”審議逆転! 三保松原も登録
(2013年6月24日)
日本テレビ「スッキリ!!」富士山世界文化遺産に登録 歓喜の瞬間と取材で見えた課題(2013年6月24日) 
TBSテレビ「ひるおび!『富士山』」(2013年5月3日) 
BS朝日テレビ「午後のニュース・ルーム『富士山・武家の古都鎌倉』」(2013年5月2日) 
テレビ朝日「モーニングバード! 『富士山が「世界遺産」へ 「三保松原」は除外・・巻き返しは』」 (2013年5月2日)
TBSテレビ「NEWS23『富士山・武家の古都鎌倉』」(2013年5月1日) 
テレビ朝日「ANNスーパーJチャンネル ニュース『富士山・武家の古都鎌倉』」(2013年5月1日) .
TBSテレビ「Nスタ ニュース『富士山・武家の古都鎌倉』」(2013年5月1日) 
TBSテレビ「ひるおび!『悲願の世界遺産登録へ 富士山19年の挑戦実る』」(2013年5月1日) 
フジテレビ「めざましテレビ『富士山・武家の古都鎌倉』」(2013年5月1日) 
フジテレビ「めざにゅ〜」MEZA NEWS(2013年5月1日)

<ラジオへの出演>
東海ラジオ「夕焼けナビ」《聞きナビ》「富士山」世界遺産登録決定について(2) (2013年6月25日) 
東海ラジオ「夕焼けナビ」《聞きナビ》「富士山」世界遺産登録決定について(1) (2013年6月24日) 
TBSラジオ「森本毅郎 スタンバイ!」現場にアタック『富士山を維持するための「入山料」には、色々な意味がある』
 (2013年5月6日)

<新聞記事>
東京新聞朝刊「三保松原「遠さ」で除外」(2013年5月2日)
読売新聞朝刊「富士山周辺 「開発規制」どこまで」(2013年5月2日) 
読売新聞静岡版朝刊「三保松原 離れすぎ違和感か」(2013年5月2日)
毎日新聞静岡版朝刊「三保松原の波紋<中>」(2013年5月3日)
週刊文春(文藝春秋)「世界遺産 富士山で地割れ・崩落・河口湖渇水に「噴火可能性100%」
 (2013年5月16日号<5月8日発売>)
北海道新聞夕刊「富士山/鎌倉 明と暗」(2013年5月10日
河北新報朝刊「世界遺産登録 国際的理解に知恵絞れ」(2013年5月23日)
中日新聞朝刊「富士よ世界へ」 国内遺産に学ぶ 教育に活用、誇り育む(2013年6月22日) 
中国新聞朝刊 オピニオン【言】「富士山登録 浮かれずに」(2013年7月17日)
静岡新聞朝刊「富士山の課題検証 都内で世界遺産シンポ」(2013年11月4日)
山陰中央新報朝刊【談論風発】「隠岐」の魅力を世界へ(2013年11月23日)  
台湾週報「東京で「知られざる台湾の世界遺産候補地の魅力展」が開催」(2013年11月29日)  
台湾新聞「台灣世界遺?潛力點魅力展 台灣人偶現身聲援」(2013年11月29日)  

 二つは、出版活動です。紙媒体での出版は、企画、取材、編集、整理、組版、印刷、製本、流通、販売と読者に届くまでに、多くの手間と多くの方々のご協力がなければ成り立ちません。デジタル化の進行で、出版流通にも大きな変化が起こりつつあります。本が売れない時代になりました。パソコン、インターネット、携帯電話などの普及で、ニュースなど様々な情報を新聞や書籍を読まなくても調べることが出来る様になったからです。

 本が売れない時代に一般受けしない本を小出版するのは大変勇気がいります。しかし、大学の教科書等で、毎年、採用してくださる先生もおられます。これまで2度、<出典>として入試問題に出題された作品もあり、一次情報としての正確さを期しています。今年の実績は、10タイトル、通算182タイトル。目標の200タイトルまで、あと18タイトル。達成までには、数年はかかりますが、テーマを厳選したいと思います。より良い作品を創る為には、玉石混淆のより多くのものを自分自身の眼で見、その違いを理解することに留意しています。

世界遺産ガイド−人類の負の遺産と復興の遺産編− 
 ISBN978-4-86200-173-3 (2013年2月
世界無形文化遺産データ・ブック−2013年版− 
 ISBN978-4-86200-174-0 (2013年3月
世界遺産ガイド−文化遺産編−2013改訂版 
 ISBN978-4...-86200-175-7 (2013年5月)
世界遺産ガイド−自然遺産編−2013改訂版 
 ISBN978-4-86200-176-4 (2013年5月
世界遺産ガイド−複合遺産編−2013改訂版 
 ISBN978-4-86200-177-1  (2013年5月)
世界遺産データ・ブック 2014年版 
 ISBN978-4-86200-178-8 (2013年9月
世界遺産事典−981全物件プロフィール−2014改訂版 
 ISBN978-4-86200-179-5 (2013年9月
世界遺産マップス−地図で見るユネスコの世界遺産−2014改訂  
 ISBN978-4-86200-180-1 (2013年9月)
世界遺産ガイド−日本編−2014改訂版  
 ISBN978-4-86200-181-8 (2013年11月)
世界記憶遺産データ・ブック−2013〜2014年版  
 ISBN978-4-86200-182-5 (2013年11月)


 三つは、「世界記憶遺産の旅」というテーマに、ユネスコの世界記憶遺産に登録されている30の記録遺産を紹介する連載の機会に恵まれたことです。この作業は結構大変で、それぞれの文書等が所蔵されている文書館や博物館から許諾を得て写真等を送ってもらうことに難儀しました。また、海外に出た時には、アポイントを取って当該機関を訪問し取材等も行いました。プノンペン(カンボジア)にある「ツール・スレーン虐殺博物館」、バクー(アゼルバイジャン)にある「国立科学アカデミー文書研究所」などです。

 四つは、講演・シンポジウムです。2月の羽曳野市民大学では、「世界遺産旅考 世界遺産の課題と展望」、3月の福岡県立大学附属研究所では、「山本作兵衛コレクションと世界記憶遺産の保存・活用」、11月のICU(国際基督教大学では、「世界遺産シンポジウム〜「富士山」からみる世界遺産登録を考える〜 世界遺産と教育の視点から」、12月のi一般社団法人「日本から台湾の世界遺産登録を応援する会」のイベントでは、「台湾にも世界遺産を!!−世界遺産登録への道しるべ−」について、お話させていただきました。

 五つは、国際会議への参加です。世界遺産関係は、昨年のロシア連邦のサンクトペテルブルクに引き続いて、第37回世界遺産委員会プノンペン会議(カンボジア)に、世界無形文化遺産関係では、第8回無形文化遺産委員会バクー会議(アゼルバイジャン)に参加しました。

 六つは、海外の世界遺産、世界無形文化遺産、世界記憶遺産の視察です。今年は、3回、海外に出ました。6月にアメリカ合衆国、同じく6月にカンボジアと中国、12月にアゼルバイジャンとトルコの5か国です。航空会社の選択と乗継ぎ時間を上手く利用できました。

 同じ世界遺産地等でも、春、夏、秋、冬の季節が異なる時期では、まちの風景や行事にも違いがあります。また、「ヨーロッパ」と「アジア」の文化の比較、それに、世界遺産の数が上位にある国、イタリア、中国、スペイン、フランス、ドイツ、メキシコ、インド、英国、ロシア連邦、米国の世界遺産の保護管理システムの研究などです。

 七つは、国内では、静岡県の「富士山」の構成資産である「三保松原」、沖縄県の「琉球王国のグスクと関連遺産群」の構成資産である「勝連城跡」、京都府の「古都京都の文化財」の構成資産である「清水寺」、兵庫県の「姫路城」、島根県の「石見銀山遺跡」などの世界遺産、世界無形文化遺産になった「和食」の研究、世界記憶遺産の「山本作兵衛コレクション」の文書類が所蔵されている福岡県の「福岡県立大学」、「御堂関白記」が所蔵されている京都府の「陽明文庫」、世界遺産候補であった神奈川県の「武家の古都鎌倉」、2015年の世界遺産候補である「明治日本の産業革命遺産」の構成資産である佐賀県の「三重津海軍所跡」、長崎県の「小菅修船場跡」、世界遺産暫定リスト記載物件の「百舌鳥・古市古墳群」の構成資産である大阪府の「古市古墳群」、世界遺産暫定リスト記載候補の「琉球諸島」の構成資産である沖縄県の「やんばるの森」や「西表島」、世界ジオパークになった島根県の「隠岐」などの視察です。

 それに、個人的にも興味がある島巡りをしました。「阿多田島」、「大芝島」、「下蒲刈島」、「上蒲刈島」、「豊島」、「大崎下島」(広島県)、「岡村島」(愛媛県)、「隠岐島」(島根県)、「壱岐島」(長崎県)、「西表島」「竹富島」「石垣島」(沖縄県)などです。「隠岐島」(島根県)、「壱岐島」(長崎県)、「西表島」「竹富島」「石垣島」(沖縄県)の島への旅は、台風や高波の為、交通手段である飛行機、船などが欠航し、スケジュールの変更を余儀なくされました。しかしながら、隔絶性があればあるほど、手付かずの自然、稀少な有形・無形の文化財が残されている様に思いました。また、佐賀県の「吉野ヶ里遺跡」、島根県の「出雲大社」、東京都の「旧岩崎邸庭園」なども興味深いものでした。

 八つは、これまでに撮りだめてきた世界遺産の写真を一般の方々に公開する「世界遺産写真展」です。第一回目は、2010年に岩手県の一戸町で開催、第2回目は、2011年4月から6月に大阪府堺市の大阪府立大型児童館ビッグバンで、第3回目は、2011年11月3日(文化の日)に、社団法人射水青年会議所の主催で、富山県の射水市高周波文化ホール(旧新湊中央文化ホール)で、第4回目は、2011年11月に「宗像・沖ノ島と関連遺産群」世界遺産推進会議(福岡県・宗像市・福津市)の主催で、アクロス福岡2階の交流ギャラリーで、第5回目は、2012年4月に、私の母校である「呉市立両城小学校」(呉市)で開催することができました。第6回目は、2013年11月に、一般社団法人日本から台湾の世界遺産登録を応援する会の主催で、アーツ千代田3331(東京都千代田区)実施された「知られざる台湾世界遺産候補地の魅力展」の世界遺産に関する総論解説の部分で、解説パネルの部分出展となりました。これらは、行政、企業、学校との協働活動の成果で、ニーズがあれば、今後も継続したいと考えています。

 九つは、1997年5月15日に開設した私共のホームページ。国内外からのアクセス数は、通算1,184,164。今後もコンテンツの充実に努めてまいります。

 付記しておきたいのは、女流作家の田中志津先生が、1月に「田中志津全作品集」を刊行され、別冊「栞」への寄稿を依頼されました。田中先生とは、世界遺産登録をめざす新潟県の「佐渡金山」を通じてのご縁ですが、大変光栄なことでした。

 私事では、2011年4月に還暦を迎え、心機一転、新しい取組みを始めました。なかでも、facebookを通じて、旧友、社友、校友、知人とのネットワークの構築と、これまでの自分史をタイムラインで整理することを始めました。開設後2年半が経過し、コンテンツも充実してきました。また、15年半(自分の人生にとっては4分の1)勤めただけですが、日商岩井社友会に入会させていただき、記念誌「日商岩井35年のあゆみ」等にも投稿させていただきました。

 さて、2014年は午年、果たしてどんな年になるのでしょうか。2014年は「瀬戸内海国立公園」が国立公園指定されて80年になる記念の年です。また、2015年は戦後70年を迎えます。

 2014年も時間の許す限り、地球的、人類的な視野に立って、世界の時流を読みつつ、世の中に役立つシンクタンクの舵取りを世界遺産総合研究所を中心に展開してまいります。長期的には10年、中期的には5年を視野に入れて、これまでに蓄積してきた知識と経験の集大成と利活用、応用と発展が課題です。

 昨年も書きましたが、世界の各地を歩いてみて思うことは、ここ10年、日本の国力や国際競争力が急速に低下している事を色々な面で感じてきました。政治家や当該分野の指導者の責任かもしれませんが、あらゆる分野において、相当、気を引き締めていかないと、国力や国際競争力は、低下していくばかりです。

 国家とは何なのか、少子高齢化・人口減少対策、エネルギー政策の転換、尖閣諸島や竹島などの領土問題、国防のあるべき姿、国家の財政の健全化、国際援助の見直し、政権を担う当事者は、もっと真摯に真剣に取り組まないと、わが国は取り返しのつかない事態に陥ることを大変憂慮していました。団体主義的風土が陥りやすい意思決定のメカニズムの弊害が様々な局面で露呈、右往左往し迷走してきました。

 しかし、安倍政権になってからは、安心感が出てまいりました。馬年大吉の長期政権を望みたいと思います。

 転じて明るい話題は、世界遺産分野では、2014年の第38回世界遺産委員会ドーハ会議で、日本の「富岡製糸場と絹産業遺産群」、また、第9回無形文化遺産委員会パリ会議では、「和紙;日本の手漉和紙技術」の登録が期待されています。世界記憶遺産は、2年毎の選考である為、該当はありません。

 世界遺産条約の目的は、かけがえのない世界遺産を、あらゆる脅威や危険から守っていくこと、また、その為の国際的な援助の体制をつくっていくことも大切なのですが、文化財の保存や修復など理工学的なアプローチに傾斜し過ぎている様に思います。 

 自然遺産や文化遺産への脅威や危険、これらへの対策については、科学的な知見も重要なのですが、人為的な脅威や危険については、政治や経済など社会科学的な見地からのアプローチが最も重要であり、地球と人類の遺産を守っていく仕組み、メカニズムなどパラダイムの転換が求められています。

 2014年も、異文化である「洋の文化」、日本らしい「和の文化」、そして、「和洋折衷の文化」などその違いや類似する点などを考える文化空間を充実させ、固定観念や先入観にとらわれない「交流」と「対話」を重ねていきたいと考えています。また、2011年12月に「世界記憶遺産データ・ブック」を発刊、今年11月に改訂版の2013〜2014年版を発刊したことでもあり、人間、人類、世界、地球などの「記憶」や「記録」についての調査研究も深化させていきます。

 なにはともあれ、健康が第一、無理をせず、自然体で事に臨んでいきたいものです。引き続きご支援をお願い致します。

                                        2013年12月吉日


                                          古田 陽久



 



















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