第6回無形文化遺産委員会バリ会議
 

ユネスコの第6回無形文化遺産委員会は、「緊急保護リスト」に11件、「代表リスト」に19件を新登録することを決定。


「緊急保護リスト」 27件 「代表リスト」 232件


世界無形文化遺産の数 259件(89か国)










 ユネスコの無形文化遺産の保護に関する条約(略称 無形文化遺産保護条約)を締約している139か国の政府間の第6回無形文化遺産委員会(The 6th session of the Intergovernmental Committee for the Safeguarding of the Intangible Cultural Heritage 24か国(注1)の委員国で構成) が、2011年11月22日から29日まで、インドネシアのバリ島のバリ国際コンベンションセンター (BICC)で開催されました。

 この会議場があるヌサドゥア地区は、先週、第19回アセアン関連首脳会議が開催され、その余韻も残るセキュリティの良い地域であり、高級感のあるホテルが立地する典型的なビーチ・リゾート地でした。

 無形文化遺産委員会への参加は、2009年にアラブ首長国連邦で開催された第4回無形文化遺産委員会アブダビ会議に続いて2度目でした。

 今回の議長国はインドネシアで、議長は、アマン・ウィラカルタクスマ氏(ボゴール農科大学教授)、副議長国は、アルバニア、ニカラグア、ニジェール、モロッコ、スペインの4か国、ラポルチュール(報告担当国)は、スペインで、イオン・デ・ラ・リヴァ氏 が報告担当者を務めました。

 第6回無形文化遺産委員会バリ会議は、「緊急保護リスト」に、中国・黒竜江省の少数民族、赫哲(ホジェン、Hezhen)族の口承叙事詩「伊瑪堪」(Yimakan)など11件(10か国)、「代表リスト」にポルトガルの民族歌謡「ファド」など19件(16か国)を新たに登録することを決定しました。

 初出国は、モーリタニア、ブルキナファソ、ポルトガルの3か国です。

 従って、「緊急保護リスト」への登録件数は、通算、27件(14か国)、「代表リスト」については、232件(86か国)になりました。

 今回、新たに「代表リスト」入りした19件のうち、2件が日本関係です。補助機関の事前審査(注2)を受けた6件(注3)のうち、広島県山県郡北広島町壬生に伝わる伝統行事「壬生の花田植」<日本の重要無形民俗文化財(風俗慣習:娯楽・行事、生産・生業、人生儀礼、社会生活(民俗知識)>、島根県松江市鹿島町の佐太神社に伝わる神楽「佐陀神能」<重要無形民俗文化財(民俗芸能:神楽)>の2件の代表性が評価され、「代表リスト」入りし、日本の世界無形文化遺産は、通算、20件となりました。

 「本美濃紙」、「秩父祭の屋台行事と神楽」、「高山祭の屋台行事」、「男鹿のナマハゲ」の4件については、残念ながら、「情報照会」決議となりました。

 無形文化遺産条約の原則と目的を最も反映する無形文化遺産保護の為の最善の計画、プロジェクト、活動の実践事例については、今回、5件が選定されました。

 2012年の第7回無形文化遺産委員会は、カリブ海の小アンティル諸島の南部にあるグレナダで、開催される予定です。

 2013年は、無形文化遺産保護条約が採択されて10周年、国際、地域、国の各レベルでの記念行事が計画されています。

 昨年の2010年10月のジョグジャカルタからの「ボロブドール寺院遺跡群」、「プランバナン寺院遺跡群」、「サンギラン初期人類遺跡」3つの世界遺産の視察に続いて、2度目のインドネシア訪問でした。今回のインドネシアへの旅は、広島空港からチャイナエアラインでの台北経由でしたが、快適な旅でした。

 11月25日の夜に開催された教育文化大臣主催の晩餐会では、今回の委員会で「緊急保護リスト」に登録されたインドネシアの「サマン・ダンス」(Saman dance)を観賞することができました。「サマン・ダンス」は、スマトラ島のアチェ州のガヨ族に伝わる伝統舞踊で、演技者の息の合ったパーフォーマンスが印象的でした。

 また、バリ島を訪問した機会に、2012年の世界遺産候補になっている「バリ州の文化的景観: トリ・ヒタ・カラナ哲学を反映したスバック水利組合」の構成資産になっているギャナャール地方のバクリサン川渓谷沿いの「グヌン・カウイ寺院」、タバナン地方の「タマンアユン寺院」、それに、「ジャティルウィの棚田」を視察しました。

 夜は、サヌールにある「アヨディア・レストラン」で、ガムラン生伴奏での「ジャワの伝統舞踊」、「バリの伝統舞踊」を観賞しながらの宮廷料理(リスタフェル)も楽しむことが出来ました。

 昨年のジョグジャカルタでは、エンジェ・ウィサタ・ツアーズの橋本直子さん、今回のバリ島では、二ョマンバリツアーの山田かおりさんに大変お世話になりました。いずれも、12時間の車チャーター(運転手、日本語ガイド)は、日本円で9,000円~10,000円くらいで、大変親切で格安の現地ツアーでした。

 尚、第6回無形文化遺産委員会で登録された無形文化遺産の概要等については、「世界無形文化遺産データ・ブック-2012年版-」(2012年1月発刊予定)をご参照下さい。


                                2011年11月29日 古田陽久古田真美


(注1)
アルバニア、アゼルバイジャン、ブルキナ・ファソ、中国、クロアチア、キューバ、キプロス、チェコ、グレナダ、インドネシア、イラン、イタリア、日本、ヨルダン、ケニア、マダガスカル、モロッコ、ニカラグア、ニジェール、オーマン、パラグアイ、韓国、スペイン、ヴェネズエラ

(注2)
補助機関の事前審査を受けた49件中「登録」が17件、「情報照会」が26件、「不登録」が5件、「補助機関内で意見の一致が得られず」が1件でした。

(注3)
<「代表リスト」への登録に関して、「登録」勧告を受けた2件> ⇒ 登録

●「壬生の花田植」
 (昭和 51年:広島県)重要無形民俗文化財(風俗慣習:娯楽・行事、生産・生業、人生儀礼   社会生活(民俗知識)
●「佐陀神能」
 (昭和51年:島根県)重要無形民俗文化財(民俗芸能:神楽)

<「代表リスト」への登録に関して、「情報照会」勧告を受けた4件> ⇒ 登録見送り

  理由:日本の既登録遺産と類似

●「本美濃紙」
 (昭和 44年:岐阜県)重要無形文化財(工芸技術:陶芸、漆芸、手漉和紙)
●「秩父祭の屋台行事と神楽」
 (昭和 54年:埼玉県)重要無形民俗文化財(風俗慣習:祭礼(信仰))
●「高山祭の屋台行事」
 (昭和 54年:岐阜県)重要無形民俗文化財(風俗慣習:祭礼(信仰))
●「男鹿のナマハゲ」
 (昭和 53年:秋田県)重要無形民俗文化財(風俗慣習:年中行事)



11 elements inscribed on the Urgent Safeguarding List

●Hezhen Yimakan storytelling (中国)
●Yaokwa, the Enawene Nawe people’s ritual for the maintenance
 of social and cosmic order (ブラジル)
●Saman dance (インドネシア)
●Naqqāli, Iranian dramatic story-telling (イラン)
●Traditional skills of building and sailing Iranian Lenj boats in the Persian Gulf (イラン)
●Moorish epic T’heydinn (モーリタニア)
●Folk long song performance technique of Limbe performances - circular breathing
(モンゴル)
●Secret society of the Kôrêdugaw, the rite of wisdom (マリ)
●Xoan singing of Phú Thọ Province (ヴィエトナム)
●Al Sadu, traditional weaving skills(アラブ首長国連邦)
●Eshuva, Harákmbut sung prayers of Peru’s Huachipaire people(ペルー)


19 elements inscribed on the Representative List

●Bećarac singing and playing from Eastern Croatia(クロアチア)
●Ceremonial Keşkek tradition(トルコ)
●Chinese shadow puppetry(中国)
●Cultural practices and expressions linked to the balafon of
 the Senufo communities of Mali and Burkina Faso(マリ・ブルキナファソ)
●Equitation in the French tradition(フランス)
●Fado, urban popular song of Portugal(ポルトガル)
●Festivity of ‘la Mare de Déu de la Salut’ of Algemesí (スペイン)
●Jultagi, tightrope walking (韓国)
●Leuven age set ritual repertoire (ベルギー)
●Mariachi, string music, song and trumpet (メキシコ)
●Mibu no Hana Taue, ritual of transplanting rice in Mibu, Hiroshima (日本)
●Nijemo Kolo, silent circle dance of the Dalmatian hinterland (クロアチア)
●Pilgrimage to the sanctuary of the Lord of Qoyllurit’i (ペルー)
●Ride of the Kings in the south-east of the Czech Republic (チェコ)
●Sada Shin Noh, sacred dancing at Sada shrine, Shimane (日本)
●Taekkyeon, a traditional Korean martial art (韓国)
●Traditional knowledge of the jaguar shamans of Yuruparí (コロンビア)
●Tsiattista poetic duelling (キプロス)
●Weaving of Mosi (fine ramie) in the Hansan region (韓国)



5 Programmes, projects and activities for the safeguarding of intangible cultural heritage considered to best reflect the principles and objectives of the Convention

●A programme of cultivating ludodiversity: safeguarding traditional games in Flanders(ベルギー)
●Call for projects of the National Programme of Intangible Heritage(ブラジル)
●Fandango's Living Museum(ブラジル)
●Revitalization of the traditional craftsmanship of lime-making in Morón de la Frontera, Seville, Andalusia (スペイン)
●Táncház method: a Hungarian model for the transmission of intangible cultural heritage(ハンガリー)




第6回無形文化遺産委員会バリ会議に参加 古田陽久 古田真美 
バリ国際コンベンションセンター (BICC)にて
古田真美





<参考文献>


  ●世界無形文化遺産データ・ブック-2012年版-(2012年3月)
  ●世界無形文化遺産データ・ブック-2011年版-(2010年12月)
  ●世界無形文化遺産データ・ブック-2010年版-(2009年10月)
  ●世界無形文化遺産データ・ブック-2006年版-(2006年7月)
  ●世界無形文化遺産ガイド-無形文化遺産保護条約編-(2004年6月)
  ●世界無形文化遺産ガイド-人類の口承及び無形遺産の傑作編-(2004年5月)
  ●世界遺産ガイド -人類の口承及び無形遺産編-(2002年4月)
  ●誇れる郷土ガイドー口承・無形遺産編ー(2001年6月)








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